こんばんは、すてらっとです。
先日、企業の人事部で働くKさんに取材をする機会がありました。
人事の仕事に携わって10年以上。これまでに何千人という応募者と面接してきたという、いわば“人を見るプロ”です。
取材の終わりに、ふとプライベートな話になりました。
「実は…」と切り出されたKさんの言葉に、私は思わずペンを置きました。
「来月、結婚する予定だった彼と別れたんです。全部整ってたんですけどね。指輪も、式場も、両家顔合わせも済んでて……」
突然のことに言葉を失いながらも、Kさんは静かに続けました。
「でも、今になって思うんです。彼に言われたことと、私が面接で“採用しない人”の特徴、すごく似てるなって」
今日は、Kさんの体験と、そこから見えてきた“採用しない人”の共通点について綴ってみたいと思います。
「このタイプは、正直、採りません」
「面接で落とす人って、どういうタイプですか?」
まずは、Kさんに質問をしてみました。業務上、形式的な回答が返ってくることも多いのですが、このときのKさんは少し考えてから、こんなふうに答えてくれました。
「正直に言うと、“自分で考えて話をしていない人”ですね。
たとえば、何か聞くと
『前の職場ではこう言われました』
『上司にはこう指導されていました』って返ってくる。
全部、他人の言葉なんです。そういう人って、自分がどう考えているのかが見えないんです。話を聞いていても、どこか空っぽな印象が残るというか……」
その言葉に、私は静かにうなずきました。
そして、Kさんはちょっと悲しそうに話しだしました。
「彼にも言われたんですよ。
『君って、自分で考えて話さないよね』って。
『これから先の人生、二人でいろいろと考えて、相談して決めていきたいと思っているのに、君はいつもこっちのご機嫌とり。君の意見があるかないのかもみえてこない。だから、選んだり決めたりするのは、いつも自分(彼)。もちろん責任を取るのも自分になる。
いろいろ悩んだんだけど、ごめん。やっぱり、一生、一緒にいることは難しい』」
まさか、面接と別れ話が同じ言葉でつながるとは思っていなかったと、Kさんは悲しそうに笑いました。ウェディングドレスまで決めていたというのに……。
「選ばれる」だけじゃなく、「選ぶ」こと
「彼の言葉に、腹が立ったわけじゃないんですよ」
Kさんは少し間を置いてから、そう話しました。
「ただ……心当たりがありすぎて、何も返せなかった」
気づけば、日常的にKさんは誰かの評価を基準にして話す癖がついていたと言います。
「間違えたくない」「嫌われたくない」「相手の考えを優先してあげたい」
その気持ちが先に立って、自分の考えを飲み込んでしまうことが増えていたとのこと。
「採用しない人の特徴って……私そのものでした」
人事として、たくさんの応募者を見てきたKさん。
でも、自分が“選ばれる側”になったとき、はじめて「相手にどう見られるかばかりを気にして、自分の軸を持っていなかったこと」に気づいたそうです。
「人にどう思われるかじゃなくて、私自身が“この人と一緒にいたいか、どう過ごしたいか”って、そこを見ていなかったなって」
誰かに選ばれることは、たしかにうれしい。相手の意見を優先すれば、それは円滑に進むこともあるでしょう。
ただ、自分の声をきちんと伝えたうえで、一緒に何がしたいのかを選ぶこと。それが相手と一致していたら本当に素敵なことですよね。
Kさんは、私に言いました。
「そろそろ、どうすれば選ばれるか、ばかりを考える日々から、卒業してもいいのかもな」
すてらっとも、同感です。
もしかすると、「選ばれること」よりも「選ぶこと」から始めるほうが、人生は動き出すのかもしれません。(文・すてらっと)


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