こんばんは。よるのおと。編集部の田中です。猫と珈琲が好きな30代です。
今回は、私が転職を決めた、ある朝の記憶を共有させてください。
朝7時、電車を降りられなかった日
新卒で入社した会社は、京浜東北線沿いにありました。
仕事内容は、今振り返っても「面白かった」と思います。
けれど、その面白さと引き換えのように、環境は過酷でした。土日出勤や深夜残業は当たり前。終電を逃し、空いているカプセルホテルを探して駅前を彷徨った夜も、始発で会社に向かった朝も、一度や二度ではありません。
同期は半年も経たずに次々と辞めていき、業務は増えるばかり。体調を崩しても、休めず悪化していく。そんな悪循環の中にいました。
それでも、当時の私に「辞める」という選択肢はありませんでした。
「この面白い仕事を失いたくない」「まだスキルもない」「入社1年足らずで辞めたと思われるのが怖い」
たくさんの不安が頭をよぎり、それについて深く悩む気力すら、当時の私には残っていませんでした。
そんな日々を過ごしていた、ある朝のことです。
今日も会社に着けば、山のような仕事が待っている。きっと、今日中に帰ることはできないだろう。
そう考えているうちに、私は会社の最寄り駅で電車を降りることができませんでした。そして、気がつくと横浜にいました。
閉まったシャッターが並ぶ通りと、一軒のスターバックス
横浜駅で慌てて電車を降りました。
時刻は朝の7時過ぎ。せめて朝食でも、と駅の周りを歩いてみましたが、ほとんどの店のシャッターは閉まったままです。
スマートフォンで検索すると、この時間に開いているのはスターバックスくらいでした。
そういえば最近、出勤中も退勤中も、街の店の明かりなんて見ていなかったな、とぼんやり思いました。
私はそのスターバックスに入り、「ここまで来たら豪遊だ」と半ばヤケクソで、ホットコーヒーと、普段なら頼まないサンドイッチ2つとケーキを1つ注文しました。
コーヒー一杯で決めた、人生の大きなこと
結局その日、私は横浜から会社に電話をかけ、午前休を取りました。
スターバックスの席で満腹になった後、本当に久しぶりに、仕事以外のことを考えました。
「今、一番やりたいことは何だろう?」
自問して、真っ先に浮かんだ答えは、「とにかく、たっぷり寝たい」でした。
あまりにシンプルな自分の本音に、思わず呆れて笑ってしまいました。
そして、その瞬間に「仕事を辞めよう」と、すとんと心が決まったのです。
そうして私は、新卒で入社した会社を、一年半で辞めました。
意外にも転職先はすぐに見つかり、そのときから、「人生は案外、なるようになるのかもしれない」と、少しだけおおらかに考えられるようになった気がします。
おわりに
あの朝、もし会社の最寄り駅で無理やり電車を降りていたら。
もし横浜駅にスターバックスがなかったら。
私は今も、自分の心に蓋をしたまま、走り続けていたかもしれません。
「もう無理だ」と感じたとき、自分の心と体をとにかく安全な場所に避難させて、温かいものでも飲みながら、少しだけ時間をあげる。
それは、逃げではなく、次の一歩を踏み出すために必要な「作戦タイム」なのだと、今なら思えます。
あなたは今、一番何をしたいですか?(文・田中)


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