がんになったとき、お金のことは誰に聞けばいい?「Cancer FP」が支える、治療と暮らし
がんと診断されると、治療だけでなく、仕事や収入、治療費、保険など、お金に関する心配も出てきます。そんなとき、頼りになる専門家の一人が、Cancer FP®(がんファイナンシャル・プランナー)です。
一般社団法人日本がんファイナンシャル・プランナーズ協会(JCFP)代表理事の川原拓人さんに、Cancer FPを立ち上げた理由と、専門家に相談する大切さについて伺いました。

「がん保険」があるのに、がんを知らなくてもいいのだろうか
――Cancer FPを立ち上げたきっかけを教えてください。
私が保険代理店を立ち上げたとき、まず考えたのが「得意分野は何か」ということでした。 そこで注目したのが、がんに関する保障です。死亡保険や医療保険とは別に、「がん」という病名がついた保険がある。それだけ大きな分野なのに、保険を扱う人たちが、がんという病気について十分に学ぶ機会は意外と少ないことに気づきました。
保険会社の研修は、基本的に自社の商品について学ぶことが中心です。でも、がんの治療は変化し続けています。どのような治療があり、それによって生活や仕事がどう変わるのか。そこまで知らなければ、その人のこれからを考えた提案はできません。
医療は、目の前の患者さんを治療するために「今」を見ます。一方、保険は、その人のこれからを考えるものです。だからこそ、「未来」も見なければならないと考えています。
点だった知識を、つなげていく
――そこからCancer FPが生まれたのですね。
最初は、社内のスタッフにがんについて教えていました。ただ、一つひとつ知識を伝えるだけでは、なかなか実際の相談にはつながりません。がんのこと、治療のこと、保険のこと、お金のこと。それぞれの「点」を「線」につなげて、その人の場合はどうなのかを考えられるようになることが必要です。
そこで、がんについて体系的に学ぶ仕組みとして、Cancer FPを立ち上げました。
目指しているのは、単に「がん保険に詳しい人」を増やすことではありません。がんになった方の治療や仕事、暮らしまで見ながら、お金について一緒に考えられるFPを増やしていきたいと思っています。

「仕事は辞めない方がいい」とは限らない
――がんになったとき、Cancer FPに相談すると、どのようなことを一緒に考えてもらえるのでしょうか。
例えば、がんになった方から「仕事を続けるべきでしょうか」と相談されることがあります。
経験者の方から「仕事は辞めない方がいい」と言われることもあると思います。もちろん、同じ病気を経験した方の話はとても大切です。ただ、その方の経験が、相談する方にもそのまま当てはまるとは限りません。
がんの種類や治療法、体の状態だけでなく、勤務先の制度や収入、貯蓄などによっても状況は変わります。基本的には、辞めなくて済むのであれば、仕事は続けた方がいいでしょう。でも、本当に辞めたい方もいれば、治療や体調によって続けることが難しい方もいます。反対に、経済的に辞めても問題のない方もいます。
大切なのは、「辞める」「辞めない」を一律に決めるのではなく、その人の状況を見ながら考えることです。
専門家に相談すると、「選べる道」が見えてくる
――一人ひとり、答えが違うということですね。
そうです。治療が続けば、働き方を変えなければならないこともあります。休職する、仕事を続ける、働き方を変える、転職するという選択肢もあるでしょう。
そのとき、お金の見通しが立っていれば、「生活のために何があっても働かなければならない」という状況から、「自分はどうしたいのか」を考えられるようになります。
私は、がんになったときに「辞めてもいいし、辞めなくてもいい」と自分で選べることが、とても大切だと思っています。Cancer FPができるのは、何か一つの答えを決めることではありません。その方の治療や仕事、利用できる制度、保険、家計などを一緒に整理しながら、これからどんな選択肢があるのかを考えていくことです。

情報が多いからこそ、「自分の場合」を相談してほしい
――今はインターネットやAIでも、がんや保険について多くの情報を調べられます。それでも、専門家に相談する意味はありますか。
もちろんあります。がんと診断されたら、不安になっていろいろなことを調べたくなると思います。ただ、医療やお金に関する情報はとても複雑です。たくさんの情報を集めても、それが自分に当てはまるとは限りません。むしろ、調べれば調べるほど、何を信じていいのかわからなくなり、「情報の迷子」になってしまうことがあります。
大切なのは、情報をたくさん持つことよりも、その中から「自分に必要な情報は何か」を見つけることです。専門家に相談するメリットは、そこにあります。 治療の状況や仕事、家族、収入、保険などを整理したうえで、その方に必要な情報や選択肢を一緒に考えることができます。
がんになってからではなく、元気なときから
――お金については、がんになってから考えても間に合いますか。
もちろん、がんになってからでもできることはあります。ただ、できれば元気なうちから少し考えておいてほしいと思います。がんになって治療が始まると、病気のことだけでも精いっぱいになります。そのときに初めて、会社の制度を調べたり、保険の内容を確認したり、これからの生活費を考えたりするのは大変です。
もし働けなくなったら、収入はどうなるのか。自分が使える制度にはどんなものがあるのか。今の保険は、どんなときに使えるのか。あらかじめ知っておくだけでも、いざというときの選択肢は変わります。備えるというのは、必ずしも保険を増やすことではありません。
自分にはどんな備えがあって、何が足りないのかを知っておく。それも大切な備えだと思います。
がんになったとき、経験した人だからこそ話せることがあります。そして、お金や保険、仕事については、専門家だからこそ一緒に整理できることがあります。 すべてを一人で調べ、一人で決める必要はありません。「自分の場合はどうだろう」と迷ったときは、Cancer FPのような専門家に相談することも、選択肢の一つとして覚えておいてください。
――ありがとうございました!
■一般社団法人日本がんファイナンシャル・プランナーズ協会(JCFP)


