「検索するより、私たちを信頼してください」乳がん経験者が伝えたい、本当に心を支えてくれたもの

「検索するより、私たちを信頼してください」乳がん経験者が伝えたい、本当に心を支えてくれたもの

「もし、あの時に経験者へ話を聞ける場所があったら、どれだけ気持ちが楽だっただろうと思います。」

そう振り返るのは、2022年に乳がんを経験したけいこさんです。
左胸の全摘手術を受けた後、自身の経験を生かし、現在は同じ病を経験した方や不安を抱える方の相談に応じています。

「病気のことだけではありません。診断されるまでの怖さや、検査結果を待つ時間の苦しさも、経験した人にしか分からないと思うんです。」
今回は、けいこさんにご自身の体験を伺いました。

乳がんけいこ さんに直接お話しを伺うこともできます。

アドビオ
乳がんけいこのプロフィール 2022年5月、乳がん浸潤性小葉がんで左胸全摘手術をしました。 只今術後10年のホルモン治療服用中、2021年12月婦人科の治療から乳がんの疑いからクリニックを受診、最初の病...
目次

「何かおかしい」その違和感から始まった

異変に気付いたのは2021年の秋でした。
入浴中、左の乳首が少し陥没し、中へ引き込まれるようになっていたのです。
更年期障害のホルモン補充療法で婦人科へ通っていたけいこさんは、診察の際にそのことを相談しました。すると先生から、「知り合いの乳腺外科を受診してください」と紹介状を書いてもらいました。

しかし、「がんだったらどうしよう」という不安から、すぐには受診できませんでした。実際に病院へ足を運んだのは、2〜3か月後のことです。
年末になり、同居していたパートナーから「ちゃんと行きなさい」と背中を押され、ようやく乳腺外科を受診しました。

エコー検査を終えた医師は、静かに言いました。

「少し影があります。」

その瞬間、恐怖でいっぱいになったといいます。

一番つらかったのは、結果を待つ時間

紹介先の病院では、マンモグラフィー、エコー、そして針生検を受けました。針生検は、30センチほどの太い針で組織を採取する検査です。

「本当に怖くて、ベテランの看護師さんが手を握ってくれました。でも、局所麻酔をしていても恐怖は消えませんでした。」

検査後は痛みも強く、別室で休んでから帰宅したそうです。

そして、結果が出るまでのおよそ1か月。けいこさんにとって、一番つらかったのはこの時間でした。

気になって毎日のように「乳がん」と検索し、SNSやブログ、YouTubeを見続けました。少しでも安心できる情報を探したかったのです。
しかし、検索すればするほど、不安は大きくなっていきました。
「抗がん剤で髪が抜けた。」「再発した。」「転移した。」
そんな投稿ばかりが目に入り、「自分も、きっとこうなるんだ。」そう思い込み、生きた心地がしなかったと振り返ります。

100人いたら100通り

診断結果は「浸潤性小葉がん ステージ2A」。左胸の全摘手術が必要でした。一方で、サブタイプはルミナールAだったため、抗がん剤治療は必要ありませんでした。

「後になって分かったのですが、乳がんには本当にいろいろな種類があります。」

同じ乳がんでも、治療方法は人によって大きく異なります。手術の方法も使う薬も人それぞれで、抗がん剤が必要な人もいれば、必要ない人もいます。
だからこそ、インターネットの情報だけで、自分の病気を判断してほしくないとけいこさんは話します。

今でも忘れられないのが、看護師さんの言葉です。

「100人いたら100人違います。同じ症状の人はいません。

ネット検索するより、私たちを信頼してください。」

その言葉を聞いてから、けいこさんはネット検索することをやめました。

「もっと早く、この言葉を聞きたかったですね。」

「話を聞いてくれる人」がいなかった

乳がんになってから、たくさんの経験者のブログを読みました。情報を発信している人は数多くいましたが、直接話を聞いてくれる人はいませんでした。

「今になって思うのは、もし、あの時に経験者と話せていたら、もっと安心できたということです。」

その思いから、乳がんについて学び直し、ピンクリボンアドバイザーの資格も取得しました。現在は、自身の経験を生かし、相談活動を続けています。

「経験者だからこそ話せることがあります。もちろん医療的な判断は先生がすることです。でも、『怖かったよ』『私も同じだったよ』と伝えることはできます。」

検診は、自分を守るための時間

最後に、検診についても教えていただきました。
マンモグラフィーは痛いという印象がありますが、生理後のタイミングで受けたり、撮影時に息を止めたりすることで、痛みが和らぐこともあるそうです。

また、高濃度乳房ではマンモグラフィーだけでは分かりにくい場合もあり、エコー検査を組み合わせることが勧められるケースもあります。
「娘の受験があるから。」「家族のことが先だから。」
そうやって、自分のことを後回しにしてしまう女性は少なくありません。

しかし、日本では年間約10万人が乳がんと診断され、生涯で女性の約8人に1人が乳がんになると推計されています。

『あの時、検診を受けておけばよかった』と話す方が、本当に多いんです。

そして、もう一つ。もし診断を受け、不安でいっぱいになったら、一人で検索を続ける前に、経験者や医療者に話してみてください。ネット検索だけでは埋まらない不安があります。
でも、人と話すことで、少しだけ心が軽くなることがあります。その「少し」が、前を向く力につながると思っています。遠慮なくご相談くださいね。

けいこさん、ありがとうございました!

働きながら、がんと生きる
働きながら、がんと生きる|アドビオ
がんを経験した方も、ご家族も、身近で支える方も。ひとりでは抱えきれない思いを、同じ経験をした人に話してみませんか。また、ご自身の経験がある方は、体験を必要としている誰かへ届けてみませんか。アドビオは、経験を分かち合い、支え合える場所です。
特設サイトへ

まだ誰かに話す気になれない……、そんな時は、アヴィットへどうぞ。

無料・登録不要・24時間。名前もメールアドレスも要りません。

アヴィットに相談する
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

アドビオ編集部
働き方や人間関係、子育てと仕事の両立など、「ひとりで抱えがちな悩み」に寄り添うコンテンツを企画・制作。編集・ライティング歴を持つメンバーを中心に、実体験や専門知見をもとに、読者の状況に近い目線で情報を届けている。

制度や一般論だけでなく、「実際にどう動けばいいか」に焦点を当て、日々の生活や仕事に活かせる具体的なヒントを重視。読者が安心して次の一歩を踏み出せるよう、正確性とわかりやすさの両立を大切にしている。

目次